デストラクション 制御不能
THE RAGE(1997年/アメリカ)
監督 シドニー・J・フューリー 出演 ロレンツォ・ラマス(ニック) |
狂気の犯罪者を調べていく過程は、まるでホラー映画のようで、単なるアクション映画ではないと思わせぶりですが、中身をよく見ると、ストーリーそっちのけのバリバリのB級アクション映画でした。しかし、B級と言えどもアクションの豊富さとスケール感のある迫力は、さすがアメリカ映画と言った感じでしょうか。
FBI捜査官ニックを演じているロレンツォ・ラマスは、確かにピアーズ・ブロズナンに似た雰囲気を持っているが、どこか男らしさや哀愁と言ったものが感じられず曖昧な存在に見える。そのせいか、彼の演じたニックも映画の中では頼もしいのだが、なんだか頼りなさげに見えてしまうのです。プロファイリング・チームの女性特別捜査官のケリーは、ニックの上司で彼と対立するFBI主任のタガートから引き抜かれ、ニックと共にコンビを組んで事件を追うんですが、ケリーの優秀な捜査官ぶりもやはり中途半端で、逆にニックのお荷物になっていたような感じがしたのですが・・・。
曖昧なストーリーと登場人物のキャラクター性の有無を考えなければ、全編に散りばめられているアクションは、なかなか見せ場が多いです。冒頭の乗馬場で派手なカーアクションシーン、ニック達の車が木を満載したトラックに襲われるカーチェイスシーン、ラストの壮絶な銃撃戦と、水上ボートでの追撃シーンなどなど。とくにトラックでの襲撃シーンは、『激突!』『ブレーキダウン』よりも過激で、恐怖さえも感じさせてくれます。
レイジー役の名バイプレイヤー、ゲイリー・ビジーのイかれたテロリスト役の悪ぶりもさえていますが、タガートを演じるロイ・シャイダーもまた、登場シーンこそ少ないが、存在感は絶大でした。日本題のサブタイトルについている「制御不能」という意味は、おそらくレイジーの事を指しているのでしょうが、なんとも意味深です。
ケリー役のクリスティン・クロークは、『ファイナル・ディスティネーション』に出演しています。また、デビッド・キャラダインは、『超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ』第5回「コンピュータ電子戦!!盗まれた設計機密」に出演しています。
山中で次々と起こる異常な猟奇殺人事件を追うFBI捜査官のニック・トラビスは、犯罪心理学プロファイリングの特別捜査官ケリー・マッコードと共に捜査をする事になった。犯人が性的快楽の代償のため殺人を繰り返している事をつきとめた2人の前だが、やがて政府に異常なまでの復讐心を持つベトナム帰還兵のレイジーの影が浮かび上がる・・・。